第2部・検証・県財政危機(14)
しのび寄る破綻—「三位一体」の行方(22)
第2部・検証・県財政危機(14)
特例、もろ刃の剣にも
「他県から、たたかれかねない話だ」。内閣府沖縄担当部局の幹部は創設にこぎ着けた「沖縄振興特別交付金」の異例さを、こう説明した。沖縄と同様に高率補助制度がある北海道や奄美でも、このような「救済措置」は見当たらない。
国と地方の税財政を見直す三位一体改革は、地方にとって分権の好機だった。国のしばりが強い補助金を廃止して税源を渡してもらう。多くの地方は財政的には細るが、自らの知恵と責任で事業ができる。そこはみんなで我慢しよう—。
そうした大合唱の列から外れ、従来の高率補助を温存した仕組みが特別交付金だ。補助金廃止で他県同様に税源移譲を受ける補助率の本体部分とは別枠で、沖縄独自のかさ上げ分相当額を確保する。
廃止ではなく交付金化された補助金でも、「高率交付制度」創設により影響はほぼなくなる。担当部局の幹部は「目立たないように小さく生んで大きく育てる」と満足そうに語った。基地問題など沖縄の「特殊事情」への配慮もにじむ。
宿願成就
三位一体改革を機に生まれた特別交付金は、「ひょうたんから駒」とも言うべき思わぬメリットを担当部局と県にもたらした。
担当部局は、各省の補助金で廃止されるメニューを手元の一括計上分に寄せ集め、新たな予算と仕事を確保できる。ある幹部は復帰時の割り振りですべての補助金を取り込めなかった経緯を指して、「一九七二年の再挑戦」と表現した。
県にとっても、自由度の高い交付金獲得は宿願だった。現行の沖縄振興特別措置法に向けた議論で、担当部局予算を丸ごと県にゆだねるよう提案し、挫折した経緯がある。「当時は相手にもされなかったが、今回は抵抗が少なかった」と、県幹部は驚いた様子だ。
ジレンマ
喜びの一方で、担当部局関係者からは「これで県が安心しきってしまわないか、逆に不安だ」との本音も漏れる。新たな制度に安住して、行財政改革を怠らないか。全国公共事業量の3・1%を占め、「補助金漬け」とやゆされる現状を続けるのか。一種のジレンマを抱える。
県側も「自由度が高まっても、それを使える体制ができているか」(幹部)と自問する。県内部でも、特に公共事業を持つ部局では国任せの補助金存続を願う声が強かった。
特別交付金を含め、沖縄への数々の特例を支える沖振法は、期限切れまであと七年余り。特別交付金は、他県に比べ周回遅れとも指摘される県の分権意識をさらに鈍らせる「もろ刃の剣」の一面も持ち合わせている。 (財政危機取材班・金城雅貴、阿部岳)
この企画は毎週月—木曜日に掲載します。
[ことば]
高率交付制度 三位一体改革で全国的に交付金化される補助金を衣替えし、沖縄向けの高率補助制度を実質的に存続させる。2005年度は廃棄物処理施設の循環型社会形成推進交付金や公営住宅の地域住宅政策交付金が対象。予算も従来通り一括計上される。
第2部・検証・県財政危機(14)
特例、もろ刃の剣にも
「他県から、たたかれかねない話だ」。内閣府沖縄担当部局の幹部は創設にこぎ着けた「沖縄振興特別交付金」の異例さを、こう説明した。沖縄と同様に高率補助制度がある北海道や奄美でも、このような「救済措置」は見当たらない。
国と地方の税財政を見直す三位一体改革は、地方にとって分権の好機だった。国のしばりが強い補助金を廃止して税源を渡してもらう。多くの地方は財政的には細るが、自らの知恵と責任で事業ができる。そこはみんなで我慢しよう—。
そうした大合唱の列から外れ、従来の高率補助を温存した仕組みが特別交付金だ。補助金廃止で他県同様に税源移譲を受ける補助率の本体部分とは別枠で、沖縄独自のかさ上げ分相当額を確保する。
廃止ではなく交付金化された補助金でも、「高率交付制度」創設により影響はほぼなくなる。担当部局の幹部は「目立たないように小さく生んで大きく育てる」と満足そうに語った。基地問題など沖縄の「特殊事情」への配慮もにじむ。
宿願成就
三位一体改革を機に生まれた特別交付金は、「ひょうたんから駒」とも言うべき思わぬメリットを担当部局と県にもたらした。
担当部局は、各省の補助金で廃止されるメニューを手元の一括計上分に寄せ集め、新たな予算と仕事を確保できる。ある幹部は復帰時の割り振りですべての補助金を取り込めなかった経緯を指して、「一九七二年の再挑戦」と表現した。
県にとっても、自由度の高い交付金獲得は宿願だった。現行の沖縄振興特別措置法に向けた議論で、担当部局予算を丸ごと県にゆだねるよう提案し、挫折した経緯がある。「当時は相手にもされなかったが、今回は抵抗が少なかった」と、県幹部は驚いた様子だ。
ジレンマ
喜びの一方で、担当部局関係者からは「これで県が安心しきってしまわないか、逆に不安だ」との本音も漏れる。新たな制度に安住して、行財政改革を怠らないか。全国公共事業量の3・1%を占め、「補助金漬け」とやゆされる現状を続けるのか。一種のジレンマを抱える。
県側も「自由度が高まっても、それを使える体制ができているか」(幹部)と自問する。県内部でも、特に公共事業を持つ部局では国任せの補助金存続を願う声が強かった。
特別交付金を含め、沖縄への数々の特例を支える沖振法は、期限切れまであと七年余り。特別交付金は、他県に比べ周回遅れとも指摘される県の分権意識をさらに鈍らせる「もろ刃の剣」の一面も持ち合わせている。 (財政危機取材班・金城雅貴、阿部岳)
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[ことば]
高率交付制度 三位一体改革で全国的に交付金化される補助金を衣替えし、沖縄向けの高率補助制度を実質的に存続させる。2005年度は廃棄物処理施設の循環型社会形成推進交付金や公営住宅の地域住宅政策交付金が対象。予算も従来通り一括計上される。






















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